2011年07月15日

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「藻」でエネルギー革命

これで日本も石油輸出国に


編集部 佐藤 章


「日本は明治以来エネルギー問題で苦しんできました。日本の社会・経済を安定させるにはエネルギーを自給する必要がある。そのエネルギーは今や自然から取る時代ではありません。作る時代に入ったのです」

 エネルギーを作る。その科学技術の最先端に位置するのが筑波大学大学院の渡邉信教授(63)である。渡邉氏が作ろうとしているのは、他ならぬ石油だ。海で取れる藻から油脂成分を抽出することによって大量に工業生産する。この最先端技術を説明するには、渡邉氏自身の研究の歴史をひもとく必要がある。

「藻と言うと、赤潮やアオコなど環境の負の面をよく言われるが、悲しいことです。藻類は地球上で酸素をつくり、鉄鉱石、石油をつくってきたのです。地球の歴史の中で大変な役割を果たしてきました。そういう藻類が私は大好きで仕方がない」

 一方、世界的には藻類の油脂成分から石油ができることが知られていた。このため、1970年代、80年代の石油ショック後に、藻から石油を作る研究が国際的に広がった。しかし21世紀に入るころから原油価格が安定、研究はほとんど中断された。

 渡邉氏が藻類石油の本格的な研究に入ったのは2004年から。ボトリオコッカスという藻類の油脂成分から石油を作ることを考えた。この藻は油脂を作る能力が高く、その油脂はほとんど重油に相当する成分だ。しかし、培養に時間がかかるため、既存重油の生産コストが1リットルあたり50円なのに対して、800円もかかってしまう。

 コストを下げるには生産効率を高めなければならない。そのために渡邉氏は日本中の海に新たな藻類を探しに出かけたーー。

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