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尖閣諸島問題を「領土問題」と呼べないタブーに疑問
尖閣諸島は日本の巡視船が常時周辺を哨戒して実効支配を固めているのに対し、中国、台湾は領有権を主張しているが、日本政府、特に外務省は「領有権の問題は存在しない」としている。蓮舫行政刷新相が9月14日の記者会見で「領土問題なので毅然とした日本国としての立場を冷静に発信すべきだ」と述べたことに対して各紙は「政府見解に反する」と問題視し、自民党国防部会ではその発言への批判が続出したという。
だが尖閣問題を「領土問題」と呼んではならないとすれば、世界中で「領土問題」はほとんどなくなるだろう。南沙諸島や中印国境、西サハラなど、複数の国家が領土の帰属について対立している状況を一般的に「領土問題」と言うが、その当事国は「自国領土が他国に不当に占拠されている」とか、あるいは「自国領土に対して、他国が不当な領有権を主張している」と主張するのが常だ。当事国の立場を尊重するなら、日本の政府要人や外交官、メディアは他国の問題についても「領土問題」という用語を軽々に使うべきではない、ということになろう。
「領土問題」という語は、第三者から見た客観的な表現で、自国領土に関して大臣がそう言うのはいかがか、という論にも一理はあろうが、日本政府も「北方領土問題」という語を使っている。これも日本の立場を明確に示すためには「南千島、歯舞、色丹島等の不法占拠事案」とでも言うべきなのだろうか。
蓮舫氏に対する言葉とがめは昭和10年に起きた「天皇機関説問題」を想起させる。美濃部達吉(東大教授から貴族院議員)の憲法学説に「天皇は国の最高機関」とあるのを陸軍出身の議員や右翼が「天皇陛下を機関とは何事か」「謀叛人」などと攻撃、著書の発売禁止、議員辞職に追い込んだ事件だ。この説はそれまで公認の解釈で、高等文官試験、司法試験でも採用されていたが、貴族院、衆議院は「機関説排撃」決議を行い、勢い付いた軍と右翼は自由主義、民主主義の排撃に乗り出した。尖閣諸島に対する中国の領有権主張の根拠は薄弱である、と私も考えるが「領土問題」という客観的表現自体をタブーにすることには疑問を感じる。
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