2011年05月15日

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熱意を形にする仕組み

ボランティアの理想と現実


ライター 中原一歩 編集部 田村栄治 写真 会田法行


「おばんです」

 カーペット敷きの床にあぐらをかいた伊藤秀樹会長(48)のあいさつで、5月3日も会議が始まった。色とりどりのパーカやフリースを着た約100人が、伊藤さんと向き合うように腰を下ろし、20畳ほどのスペースはぎゅうぎゅう詰めだ。

「今日は泥出しを7カ所で完了、4カ所継続です」

「避難所で髪のカット30人、顔剃り15人です」

 各団体からの報告が、ホワイトボードに次々と書き込まれていく。

「今日炊き出しをした避難所で、髪を切ってもらいたいと言っていた人が何人かいました」

 そんな部門横断的な情報が出ると、伊藤さんが取り次ぐ。

「リラクゼーション(分科会)、なんとかならない?」

「明日行きます」

 午後7時の開始から45分後、報告が途切れたのを見計らって、伊藤さんが正座に直り、

「おつかれさまでした。明日もがんばりましょう!」

 「奇跡のボランティア組織」とも呼ばれる「石巻災害復興支援協議会」で連夜繰り返されている光景だ。

 東日本大震災の被災地には連休中、全国から延べ8万人以上のボランティアが駆けつけた。死者・行方不明者が2万人を超え、いまだ至るところに瓦礫が残る惨状に、東北と縁のない人までもが「手助けしたい」という思いに突き動かされている。

 ただ、ボランティアは被災地には大きな負担にもなる。事実、志願者を断ったり、少人数に限定して受け入れたりした自治体も少なくない。そんななか、宮城県石巻市は震災以降、被災地で断トツの延べ6万8千人ものボランティアを受け入れている。成功の要因は「ボランティアを受け入れる仕組み」と、「ボランティアにとって居心地のよい環境」を作ったことだーー。

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