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たった一冊の本が買えない理由
『15のわけあり小説』。なんだか、軽い。
ジェフリー・アーチャーといえば、『大統領に知らせますか』や『カインとアベル』など夢中になって読んだ記憶があります。
20代後半の頃、海外冒険小説ブームがありました。各出版社から、面白い小説が続々と翻訳されていた。
新潮文庫はその中でも特にはずれなしというイメージがあった。
スティーブン・キングやクライブ・カッスラー等と並び、アーチャーは新潮文庫の海外エンタメ路線を代表する作家と思っていました。
それが今では『わけあり小説』・・・。
今、海外翻訳小説は売れないという話は聞きます。少しでも手にとってもらうために、こういうタイトルにしたのかもしれません。
でも、以前だったら、格調高いとはいいませんが、もう少し違う雰囲気のタイトルになったんじゃないかなと思ってしまいます。
売れなければ出版もされないわけですから、贅沢は言えないのですが。
ただ、あまり人のことは言えません。
最近、本屋に行っても、なかなか本を買う気になれないのです。
買う気持ちはある。読みたい本もいっぱいある。
じゃあなんでかといえば、物理的な問題です。
家には、買うだけ買って、読まずに積み上げられている本の塔が何本もある。
ピサの斜塔並みに傾きながらも、なんとかバランスをとって立っている塔です。これがどの塔も限界ギリギリに来ている。
三月の地震の時に倒れたのですが、とりあえず全部積み上げ直した。それから二ヶ月、塔は成長を続け、今に至った。これ以上は、一冊余分に上に置いても倒れてしまうと言うくらい、絶妙なバランスで立っている塔達です。何度も大きな余震を堪え忍んできた塔達です。
本屋で新刊を手に取る度に、あの奇跡的な光景が目に浮かぶ。
この本をポンと上に置いただけで、一本の塔が倒れる。その隣の塔が倒れる。被害は本では終わらない。より不安定なDVDとCDの塔にまで波及していくかもしれない。
たった一冊の本で、エンタメ・タワーズ潰滅です。
それだけの危険を冒してまで、その本は、本当に今買わなければならないものなのか。そう問いかける自分がいます。自問の仕方が大きく間違っている気もしますが、当人にとっては切実な問題なのです。
そして結局あきらめるのです。
切ない。切ないが仕方がない。塔を倒すわけにはいかんのです。
くだらないことを大仰な言い方でごまかしてないで、だったら読めよという話ですが、残念ながら、その時間がない。
いくつか仕事が重なって、今、かなり忙しいです。
特に六月は、重めの〆切が重なって、今からどんよりとした気持ちでいます。
明らかに会社に行っている時よりも、読書量が減っている気がします。
通勤時間や移動時間がないというのが、これほど響くとは。
家にいる時間はどうしても、仕事優先になってしまいますね。気持ちだけは。
実はネット散策などして、意外とダラダラしている時間も多いのですが。
あとは資料ですね。目の前の仕事のための資料を読むだけでもアップアップしてます。
計画的に、読書時間を作らなければならないのかもしれません。
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