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『髑髏城の七人』の原点と、新しい可能性
脚本はとっくに上がってたのですが、なかなか話題に出来なくて僕ももどかしかったです。
キャストは小栗旬、森山未來、早乙女太一、小池栄子、勝地涼、仲里依紗と、かなり若返りました。
正直、『髑髏城の七人』に関しては、ある時期までは、2004年の『アカドクロ』『アオドクロ』の二本立てでやりきった気がしていました。
もし7年後に『髑髏城』をやるのなら、それはもう映画とかアニメとか、新感線の舞台とは違う表現でやったほうがいいんじゃないかと、いのうえと話をしていた時期もありました。
それが、もう一度やろうと思えたのは、全体を若いキャストにして、しかも捨之介と天魔王という、それまで一人二役でやっていた役をそれぞれ分けるというアイディアを思いついた時です。
いのうえひでのりとヴィレッヂの細川社長と三人で打合せをしている席だったかな。
だったら小栗旬の捨之介、森山未來の天魔王というキャスティングはどうだろうという話になり、そうなると蘭兵衛は『蛮幽鬼』での立ち回りが素晴らしかった早乙女太一でいきたいね。こういうキャスティングが可能なら、新しい『髑髏城の七人』ができるなあと言っていたのですが、その時には半信半疑だったのです。ですが、縁とタイミングと細川社長の努力(これをいれとかないと怒られる)により実現出来ることになりました。
古田新太と橋本じゅんが、スケジュール上、出演は無理だということは早めにわかっていたので、だったら他のキャストも一気に若返らせようとした結果、上記の、かなり豪華で贅沢なキャスティングになりました。
いや、新感線を書く時にはいつも思うのですが、これだけのキャストに当ててホンが書けるのは、本当に幸せです。
しかも面白いことに、この企画がほぼほぼ固まった頃、『髑髏城の七人』の大学生の上演申請が二件ほどありました。
今回は若い芝居にしたいという思いがあったので、彼らがどんな『髑髏城』を作り上げるのか興味をそそられました。
「やるのは大変だけどやりたいからやる」
その思いだけで突っ走った大学生公演を観て、改めてこの脚本の若さに気づきました。
初演は1990年。書いたのは31才の時でした。
いのうえ歌舞伎と名づけたシリーズもこれが4本目。
本格的な時代活劇がやりたいという気持ちだけは先走っていたが、何もかもが未熟だった。
なにせ、初演の初日、ラストまで来て、役者が「ここから先、稽古してない!」と気づいたシーンがあったくらいです。
最後の暗転前、稽古場では細かい段取りが決められず「ここは劇場に入って固めるから」と演出のいのうえが言ったのですが、セットの立込が遅れに遅れて、通しをしないまま初日の幕を開ける羽目になったのですね。
あまりにバタバタしていて、役者もそのシーンを固めてないことを忘れていた。
ヒロイン役の高田聖子が、すがるような目で主役の古田を見る。古田も仕方ないからなんとなく後ろを向く。すると、他の役者も古田の真似をして後ろを振り返る。壮大な音楽が流れてそれなりの雰囲気で暗転になったのですが、役者達は生きた心地がしなかったそうです。
ホンも、クライマックスは、捨之介と天魔王の一騎打ちのはずが、仮面の天魔王の中に入っていた役者が殺陣が出来ない。仕方がないので病死と言うことにしたという拍子抜けのラストだったり、まあ、それくらい荒っぽい芝居だったのです。
脚本も2004年の時に随分直したつもりでしたが、今見るとやはり前半が若い。
大学生達の芝居を観ながら、今回の『髑髏城』の構想を練っていました。
初演から21年目、50を過ぎた僕が納得出来るホンを若いキャストに演じてもらう。
この化学反応が実に楽しみです。
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