幸せ手に入れたから復活しなかったのね

2011年05月10日

幸せ手に入れたから復活しなかったのね

　スーちゃんこと田中好子さん（享年55）の死は早すぎた。亡くなる二十数日前に録音された肉声のテープレターには、東日本大震災の被災者への思いやりやキャンディーズの２人への感謝の気持ち、もっと生きたかった、もっと演じたかったという悔しさがあふれていて、胸がしめつけられた。

　初めて買ったＬＰ盤（アルバムのこと）がピンク・レディーだった私は、少しお姉さん世代だったキャンディーズの活躍をあまり覚えていない。ただ、「８時だョ！全員集合」は毎週見ていた。ときどき、当時住んでいた市の市民会館に「８時だョ！」が生放送のために来るのが楽しみで、家族で見に行った（当選はがきが届くと、我が家はお祭り状態だったね）。だから、キャンディーズはドリフに出てるお姉さんというイメージだった。

　といいながら、曲はほとんど歌えるんだよなあ。

　いまさらながら驚くのは、彼女たちがバラエティー番組に出てコントをする女性グループのハシリだったこと。ＡＫＢ48の総選挙が６月にあるが、人気によってセンターが変わる演出も彼女たちがハシリだったのね。

　ピンク・レディーが活動を再開し、おニャン子クラブが同窓会をする中、キャンディーズだけは最後まで復活しなかった。３人の仲が悪いせいだと思っていた。が、まったく違っていた。解散宣言通り"普通の女の子"に戻ったのはミキちゃん（藤村美樹さん）だけだったが、解散から30年以上も経ち、それぞれの環境が変わっているのに、女の友情が続いていることはうらやましく、美しく、奇跡だ。

　が、むしろ仲がよかったから復活しなかったし、それぞれの幸せを手に入れて自立していたから復活する必要もなかったこともわかった。そして復活しなかったからこそ伝説になる（ピンク・レディーやおニャン子やモーニング娘。やＡＫＢ48の中から、３人のような関係が生まれそうにないと思うのはなぜだろう）。

　がん闘病というツラい現実を隠し、元気で明るい姿だけを見せ続けた彼女の人生は、"本当に幸せ"だったと思う。

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