大震災後のマンション価格

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大震災後のマンション価格

2011年08月06日

大震災後のマンション価格

「買うべきエリア」と「買ってはいけないエリア」

編集部　山下　努、大波　綾

　千葉県浦安市で売り出されていた新築マンション。３月11日の午後、最後に入居した購入者の中に、購入価格の１割にあたる数百万円の手付金を支払ってキャンセルした人がいる。

　キャンセルは本来、引き渡し前しか認められない。だがあの日、周囲は液状化しライフラインは寸断。すぐに決断した人だけが、キャンセルできたようだ。

「建物に傷みはなく、大丈夫」ととどまった人もいれば、「Ｎ値が低いので、今後、震源地が近い地震が起きれば危ない」と去った人もいた。

「Ｎ値」は地盤の硬軟を示す指標で、約63キロのハンマーを約76センチの高さから落とし、鉄の円筒を地面に30センチめり込ませるのに必要な回数で示される。５以下ならもろく、50を超すと強固な地盤とされる。

　例えば、浦安市高洲地区は地表から深さ45メートル未満のＮ値が一部を除いて５以下。同じ千葉県の我孫子市相島地区も、20メートル以上掘らないとＮ値が安定して10を超えない。一方、古くからの屋敷街として知られる同県市川市本八幡周辺の場合、17メートル以上掘るとＮ値は50を超す。

　千葉県は、1990年に「地質環境インフォメーションバンク」を作製。1200地点の地盤沈下変動図を作り、深さごとの土質やＮ値など、２万１千地点の地質の状態を示す「地質柱状図」を公開中だ。

　東日本大震災で、住宅についての人々の関心は、大きく変化した。液状化の激しかった千葉県内の不動産事情に、変化は表れているのかーー。

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