2011年05月15日

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ちっちゃな菜園、の巻。

 私の朝は、庭の巡回で始まります。
 巡回といっても、うちの庭はリビングを取り囲むようなL字型、端から端まで16歩で行けるほっそりとした小さなものなのです。だから、ものの5分もあれば、どの植木に水をやるべきか、伸びたツルの誘導をどうすべきか、チョウチョがどこに卵を産みつけたか、雑草増えすぎていないか、などなど一通り確認することができる。この、たった5分で一巡できるちっぽけ具合が、めんどくさがりの私にはぴったり。とても気に入っているのです。
 梅と、線香花火みたいな黄色のぽさぽさしたサンシュユが咲くと、私の"適当でいいかげん"な庭仕事がスタートします。冬は寒くて何もする気がおきないので、3シーズンだけ楽しむと決めているの。
 食いしんぼうの私が楽しんでいるのは、「プランターのちっちゃな菜園」。
 プランターで何が育つか、手間をかけず簡単にできるのはどの野菜か、うちの環境に適した作物はどの種類か、というのを知るための実験菜園なのであります。
 春の仕事は、菜園用と決めているプランターの荒れ土を掘り返し、石ころや虫がいないか確認しながら肥料と石灰を混ぜることから始まります。石灰は、おせんべいや海苔の袋に入っていた湿気取りのものを貯めておいて使うのです。これは庭仕事好きの、おかんの教え。
 一番深い大型コンテナはジャガイモ用。他は葉物。リーフレタスと水菜の種が残っていたのでばらばらと蒔きます。種がちょっと古いけど、蒔いて芽が出ればラッキー、くらいの軽い気持ちでやるのです。ゴーヤーも、去年できた実から採った種と、もらいものの種とを、適当に蒔く。
 今年はアスパラガスに初挑戦しました。茶色いタランチュラみたいな苗、というか根っこが園芸店で売っていて、思いつきで買ったのです。これをネギのプランターの横っちょに埋めてみます。それから娘が「買って」とねだったイチゴ苗。こちらはミツバの横に植える。
 サンチュとチンゲンサイ、スティックブロッコリーの苗も植えました。丹沢に遊びに行った帰りに寄った麓の秦野農協で、50円と70円。実験菜園ですから、安いのがありがたい。
 アオムシとアブラムシにやられそうなチンゲンサイ、スティックブロッコリーの苗には、ネットをかぶせました。この前網戸の張り替えをしてくれた大工さんが「これ何かに使えるよ」と置いていってくれたものです。ドーム型の支柱にかぶせて洗濯ばさみで留めたら、立派な虫除けのできあがり。
 イチゴの苗にも鳥に食べられないようにネットをかけました。これらを毎日見回っているのです。
 気温も上がってきて、このところどれも成長が著しい。
 ジャガイモからわんさか芽が出たのを一本仕立てにしたり、サンチュを外葉から収穫したり。ミツバはもう何年か、こぼれ種で増え続けているのでせっせと食べる必要があります。
 あくまでも実験なので、多くて3苗ほど。葉物以外は一度にいっぱい採れるわけではないのです。
 でもちょっとずつ食べ頃がやってくるのが楽しいんだ。イチゴなんて今のところ一週間に一粒とかの超スローペースなのですが、娘が「待つ」ことを学んでいるのでまあいいかと思うのです。
 実験菜園は今年で3年目。これまでやってみたなかで、ネギ、ミツバ、シソ、バジル、ミントなどの香味野菜と、サンチュやサニーレタス、ジャガイモはいい成績です。キュウリは去年、ちょっと奮発して接ぎ木の苗にしたら収穫は10本と、かなり優秀な成績を収めてくれました。
 ナスとミニトマトは皮が固くなりがち、カボチャはかなりの土を必要とする割に2個しかとれなくて効率は悪い印象。スナックエンドウはアオムシが、空豆はアブラムシが来すぎ。このあたりはさらなる研究の必要がありますね。
 
 狭い地面に元から庭に生えている植物と、庭仕事好きなおかんが持ち込んだ草木、それから私が買った果樹、野菜苗が混在していて、夫からは、
「すっきりせんなあ」
 と言われてしまう庭。ですが、葉が茂りだすとこのごちゃごちゃもいろんなグリーンのグラデーションになって、なんとなく素敵な景色に見えてくるんですよね。何よりグリーンをみるとほっとする。東京のまんまんなかですが、虫も鳥もいっぱい遊びに来るのです。去年ゴーヤーのカーテンに住んでいたカマキリ、今年はあの子の子孫が来るのかな。
 そうそう、例の夏みかんも、また白い小さな蕾をたくさんつけだしましたよ。ユズとオレンジレモンも。たぶんあと二週間ほどで花が一斉に咲き、柑橘類特有の芳香に満ちたトロピカルガーデンになるでしょう。楽しみです。

本上まなみ

バックナンバー

  • ちっちゃな菜園、の巻。
  • タラの芽とふきのとうの巻。
  • 夏みかんが大豊作、の巻
  • 旅のごはんの巻。
  • セイロってさ、の巻。

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